訪問理美容

訪問理美容サービスについて

理容師法及び美容師法では、公衆衛生の観点から、原則として理容行為は理容所で、美容行為は美容所で行わなくてはならないとされています。 ただし、法令で定める特別の事情がある場合に限り、理容・美容行為を出張して行うことができます。

  • 疾病その他の理由により、理容所又は美容所に来ることができない者に対して施術を行う場合
  • 婚礼その他の儀式に参列する者に対してその儀式の直前に施術を行う場合
  • 養護老人ホーム、児童養護施設その他これらに類する施設において施術を行う場合

上記の事例のように特別の事情がある場合に限り、理容行為又は美容行為を出張して行うことができます。

 

 

施設訪問理美容と在宅訪問理美容の違い

施設訪問美容と在宅訪問美容は、どちらも利用者が自宅や施設内で美容サービスを受けることができる点で共通していますが、それぞれのサービスには異なる特徴があります。 訪問理美容自体は、高齢者や身体的制限のある個人を対象としているのはかわりませんが、施設訪問理美容サービスは、利用者が居住する施設内で美容サービスを提供し、快適な環境の中でサービスを受けられること、また、移動や外出の負担が軽減され、施術を行う理美容師も介護士や看護師のアドバイスを受けながら作業ができる利点があります。 一方、在宅訪問美容も、同じく自宅から外出が困難な個人を対象としていますが、在宅訪問理美容サービスでは、美容師が利用者の自宅を訪問する際、ご家族など他に利用者をケアする方が不在のことも考えられ、単独で作業を行うスキルも必要となります。  そこで理美容サービスを提供するため、施設訪問理美容に比べ、経験やスキル、危機管理能力も必要とされます。 どちらのサービスもその実施場所や利用者のニーズに応じて選択されますが、利用者にとっては生活の質を向上させるために重要な役割を果たしており、必要不可欠なお仕事です。

 

高齢者や身体不自由な方でも理美容施術を行うことの意義

高齢者や身体が不自由な方に対して理美容施術を行うことは、身体的、心理的、そして社会的な多くの意義を持っています。

  • 身体的な健康維持と機能向上
  • 心理的な健康と生活の質の向上
  • 社会的な交流とコミュニケーションの機会
  • 自己表現とアイデンティティの維持

高齢者や身体不自由な方に対する理美容施術は、単なる外見の美しさを追求するだけでなく、心身の健康を維持し、社会とのつながりを深めるための大切なサポートとなります。そのため、適切なケアと心のこもった対応が求められます。 また、社会的な孤立感の解消や心のケアなどにもつながり、日常生活の質( QOL )を向上させるサポートを提供しています。

 

今なぜ訪問理美容が必要とされているのか? サロン側から見た訪問理美容

あなたはなぜ、今訪問理美容なのか? 超高齢社会を迎え、お店の業績が低迷して売上を補てんさせるため? スタッフ教育のため?  高齢者マーケットを見だすため? 色々考え方はありますが、今来店いただいているお客さまが何らかのトラブルでお店に来店できなくなった時のために『 訪問理美容 』 はあるのではないのでしょうか?

いつもご来店いただいているご高齢のお客さまが急激に進行する骨そしょう症の影響で大腿骨( だいたいこつ )を骨折し、その後入院。 半年後にリハビリを経て退院しましたが、自慢だった髪の毛は伸びっぱなし、そしてあなたのサロンの電話が鳴りました。 『 〇〇美容院ですか? 〇〇店長、しばらくぶりです。 〇〇丁目の鈴木です。』『 半年前にお風呂ですべって転んでしまって大腿骨を骨折してしまったんです。 伸びすぎて髪の毛を切りたいんだけど、切ってもらえませんか? 』『 骨折の影響でまだ家から外出するのも不安なんだけどどうしたらいいかしら? 』 困った…どうしてあげたらいいんだろう??  何てアドバイスすれば良いのだろう?? 電話からでは、鈴木さんの体調はどうなのかな? イスには座れるのかな?   どうやって切ってあげたらいいのかな?  などの不安や状況が読めず、お店にタクシーで来られるのかな? ご自宅に伺うのかな? など経験のしたことのないケースも考えられます。 理美容師としてのプロのプライドもあり『 できない 』なんてお客さまには伝えられなし… そのような場合の知識、対応方法など事前に理美容師としても身に付けておけば既存のお客さまも安心だと思います。