カラーチューブリサイクル

ヘアカラーの使用済アルミチューブをリサイクル

全国の理美容室やご家庭で使われているヘアカラーチューブ( アルミチューブ )の年間生産数は、コロナ前の2018年時点で「 約2億4000万個 」にものぼります。 この数値は、美容業界におけるカラーリングがトレンドとしてまだまだ発展していることを示しています。 使用済みのヘアカラーチューブの1本あたりの重量は、大小平均して「 10g 」程度ですが、これを考慮すると、年間の使用済みチューブの総重量としては「 2,400 t 」に及ぶため、カラーリングが発展する一方、ゴミとしての環境問題にも注目が必要です。 私たち現場で働く理美容師も少しでも環境問題に取り組み、使用済みのヘアカラーチューブを適切に処理をして、リサイクルや再利用、アップサイクルに至るまで、より効果的な方法を模索し、環境に配慮した行動をとっていくべきだと考えております。

 

カラーチューブリサイクルの今後について

2016年4月に発生した熊本震災の際、復興活動に参加し、その時、地元の美容師さんがアルミリサイクル会社・事業を始めたこと知りコンタクトを取りました。 その後、本格的にカラーチューブのリサイクル活動を周囲の理美容師仲間に協力していただきながら手探りで始め、年数を重ねるにあたり、他の理美容師さんの団体なども加わり、2018年度の年間回収量は「 13 t 」にまで増加しました。 当初、リサイクルすることにとって問題となっていたのは、使用済カラーチューブが「 ゴミ 」として認識され、ゴミを県から県へ違う行政へ運ぶことができない障壁があり、「 資源 」として扱っていただけなかったこと、また、カラー剤のアルミチューブに残留する残液処理でした。 しかし、アルミリサイクル業者さん、障がい者支援団体さんの協力により、アルミガラを分別・裁断し、溶解する効率を上げることができ、月間10 t / 年間120 t 以上のリサイクル量を目標にして活動を行ってきました。 プロジェクトの最終目標としては、カラーチューブを循環させ、「 リサイクルカラーチューブ  」として世の中に送り出すことですが、完全なアルミリサイクル品となりカラーチューブの形となるには、カラーチューブ生産量のおおよそ「 30% 」  にあたる720 t を集荷することができると、循環型リサイクルとして成立することができると考察していました。

 

カラーチューブリサイクルの今後について②

熊本のアルミリサイクル会社さんにトラブルが発生し、集荷や回収作業が中断され、私もウィッグ製作をボランティアの主としていたため、カラーチューブリサイクルも一定期間座礁モードになっていたところ、2024年 BBリサイクルパートナーズの石井さんにお声がけいただいて、カラーチューブのリサイクルをより確かなものにすることと、アルミのリサイクルについて学ぶことを目的とし長野県松本市のアルミニウム二次合金工場にお伺いし、アルミについて学びました。 アルミニウム二次合金とは、様々なアルミニウム製品や、その製造工程などで発生するアルミスクラップ( ガラ )を主原料とし、その原料を溶解し合金にしたものを指すのですが、今までお取引ができていたアルミリサイクル会社さんではできなかった、アルミを溶解し再資源化させる企業さんにパートナーシップを結んでいただく運びとなりました。

 

カラーチューブを再資源化させるために

昨今のリサイクル状況からざっと計算して、再資源化可能なカラーチューブが「 50 t 」集荷、溶解できていたと仮定しても、現在のカラーチューブのリサイクル率としては年間生産量の「 2% 」 程度であり、ペットボトルの再生率 98% に比べると比較にならない状況です。 リサイクル率からしても課題は業界全体の問題であり、社会にとっても重要な課題と認識することができます。 また、協力いただいている理美容師さんから集められた使用済カラーチューブを梱包するにあたり、不要物や残留などを確認する際、カラーチューブ先端の円錐状の部分でも「 3 g 」 ほどのカラー剤が残っていることがあります。 経営者やスタッフが材料の無駄を認識し、廃棄材料の削減に努めることで、しっかりとした経費管理が可能になると期待していますし、新たなアップサイクルの動機を生み出すことにもつながると所望しています。 私はヘアドネーションを通じて髪の毛のアップサイクル活動を主に行っていますが、少しでも次世代を担う方のための情報として、少しでもカラーチューブのリサイクルが業界にゆっくりでも浸透し、認知していっていただける事を望んでいます。

 

カラーチューブを再資源化させるために②

アルミのリサイクル行程において、アルミガラの分別とアルミの溶解は別の業者さんが行っているため、カラーチューブの溶解をお願いするにあたっても、分別責任は私ども理美容師にありますから、もちろんポリプロピレン( PP )製のカラー剤のキャップやその他のゴミの混入は絶対避けなくてはなりません。 アルミの溶解には、通常800℃から1000℃の高温炉が使用され、アルミに付着している不純物を取り除くので、溶解には2〜3時間かかり、ガラの種類・サイズによって時間が異なります。 カラーチューブから抽出されるアルミの純度は、純度測定器で計測していただいたのですが、意外に不純物が少なく、純度としては「 99.5% 」あるので、1円玉のアルミの純度と同等のアルミを抽出することができます。

カラーチューブに残るカラー剤( 液剤 ) には問題があり、溶解、燃焼の際、かなりの黒煙を発生させます。  また、カラー剤には油分が多く含まれるため、カラーチューブ単体で溶解すると油分が影響して溶解温度が高温になり過燃焼しすぎることによって、アルミの抽出量が少なくなってしまうため、リサイクルへの影響を考慮すると、なるべくカラー剤を絞り取る必要がありまます。 さらに、カラーチューブの溶解時には、カラーチューブ1つ1つ固体としては質量としては小さいため、過燃焼を防ぎ、かつ効率的に行うために、他の同純度が抽出できるアルミ素材と混同させることによって、温度を一定に保てるように作業が行われています。

溶解後のアルミは型枠に流し込み、凝固させます。 凝固したアルミの純度は原料の品質によって異なり、高品質な素材から得られるアルミはリサイクル価値が高く、当然のことながら買取価格も上昇します。 買取につきましては、金属の市況により価格は変動するため、同量のカラーチューブを集荷していただいた場合でも、買取金額に差が発生することも予めご承知いただければと思います。 今回、アルミニウム二次合金工場の社長さんに熱意が伝わり、美容室から直接送付が可能となりました。 そのため。これより集荷計画案の作成を行ない、皆さまにも良い報告ができるように努めます。

リサイクル拠出金について

2024年より、カラーチューブリサイクルについては、私が Ribinet として主に活動することができないため、Ribinet から送付して買取していただいたカラーチューブの拠出金につきましては、BBリサイクルパートナーズが行う社会貢献活動に充当させていただければと存じます。

 

リサイクル協力企業

株式会社 カンノ  長野県松本市和田南西原3967-42

 

大事なお知らせ


これまで、理美容室から出たアルミ製のカラーチューブについては、熊本にあるアルミリサイクル業「 My-Gプロジェクト 」さんに集荷から買取までお願いしていました。 My-Gプロジェクトさんは、熊本に事業所を持つ社会福祉法人 合志( ごうし )福祉会の障がいを持つ利用者が参加し、リサイクルに関わる軽作業に従事し、分別処理作業を行い労働として対価を得ていましたが、アルミ資源・スクラップを買取する大分のアルミ工場での買取単価が下がったこと、さらにコロナ禍中の集荷停止トラブル後、リサイクル先を変更した団体さんや、ビューティーガレージさんに拠出先を変更されたサロンなどの影響で、カラーチューブの回収量が減少し、その後も事業が回復できない状況となり、事業継続が難しくなったため、2024年6月より長野県松本市にあるアルミ二次合金地金の製造・スクラップの買取を行う株式会社カンノさんに委託先を変更することとなり、無料集荷・発送の対応ができなくなりました。 私も新たに無料集荷・発送方法を構築したいのですが、ケアウィッグ及びヘアドネーションの対応で手が足りていないため、現在は東京三鷹市を拠点とするBBリサイクルさんを通して、今後もカラーチューブやカラーキャップのリサイクルが業界に浸透できるよう努めてまいります。  スタートアップより10年間、遠方よりご協力・支援いただいておりました理美容室さま、事業所さま大変ありがとうございました、また、大変申し訳ございません。 今後も弊店を中心としてカラーチューブを持ち寄っていただき集荷する形は変わらず対応させていただき、カラーチューブリサイクル・プロジェクトは継続いたします。